今日はビックサイトで開催中のDisplay 2008という展示会を見てきた。同時開催の「ファインテック・ジャパン」(ディスプレイの製造装置などの設備、技術の展示会)のほうが圧倒的に規模が大きい。Display2008は最終製品の展示が中心だ。
注目はソニーなどが出展している有機ELなどだが、電子ペーパーのブースもかなりの混雑でちょっと驚いたくらいだ。
次の写真は電子ペーパーのキー技術のひとつ電気泳動方式の表示技術を持つE-INK社のブースに展示されていた、Amazonの電子書籍Kindleである。昨年のクリスマス時期に、プレゼントとして結構売れたらしく、ちょっとした注目商品にはなったそうだ。実物を見るのは私は初めてだった。
Amazonの電子書籍Kindle
同じE-INKのブースには、EPSONによるコントローラチップや、PrimeViewという台湾メーカーによるプラスチックフィルムベースのE-INKタイプの電子ペーパーの展示があり、毎年技術的な進歩を見せてくれているなあと思う。ただし、なかなか市場が立ち上がってこないのも事実。白黒で文庫本のような、新聞のような表示だが、Amazonの例のように電子書籍のアプリ以外なかなか売れ筋の応用が見えてこないようだ。
日本でも2004年にソニーがLibrieという電子書籍を商品化したが、そのころと比べると、今回の展示ではEPSONの新開発のコントローラにより、表示がさくさくと圧倒的に速くなっており、ちょっと驚いたくらいだ。メニュー表示には部分的に書き換えを行うなどの工夫をしているとのことだが、ページ全体の書き換えもかなり高速化されていた。しかもデモ機はタッチパネルがつけられていて、手書きができるようになっていて、その追従性も違和感を感じないくらいに十分な表示性能になっているように感じた。これならLibrieであのときに感じた不都合(技術的な完成度不足)のかなりの部分が解決されているように感じた。
EPSONの新開発コントローラのデモ
また、個人的にはPrimeViewのプラスチックフィルムベースの電子ペーパーには期待をしている。というのも、現在主流のディスプレイはガラスベースで、壊れる危険といつも背中合わせだ。そのため、パソコンは強度を確保するためにある程度の厚みが必要になり、たとえばMacBook Airでさえ、あの程度の厚みが必要になる。厚みが必要になるのと同時に重くなることが、直接モバイルのための制約条件になる。今は、LCD以外にもHDDや電池の重さが問題になるが、HDDは半導体ディスクになり軽くなるし、電池は表示部の省電力化によりかなり小型化できそうな可能性もある。ディスプレイがガラスからプラスチックフィルムベースになると、ガラスのような壊れるリスクが劇的に減るので、パソコンの形も劇的に変わり、ユーザにとっては携帯性が飛躍的によくなる可能性が出てくる。
PrimeViewのプラスチックフィルムベースの電子ペーパーディスプレイ
いずれにしても、新技術が市場で認められるにはなかなか時間がかかるようだ。今後も注目していきたいと思う。
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